バーンハナの軌跡⑤

【絶頂期】 

その後国体で優勝、全国大会もbest8まで勝ち進むことが出来た。 

スクールウォーズフィーバーでラグビーの人気は絶頂期にあった。 
私も周りにちやほやされて自分が偉くなった気分だった。 
今から考えたら天狗になっていたと思う。

【ドン底】 

3年になり、副キャプテンに選ばれた。

 全国大会にも出て有頂天だった時、春の練習試合で両足筋断裂の大怪我をしてしまった。
全治3ヶ月の診断。復帰後は精彩に欠け以前の様にプレーが出来なくなった。
そしてメンバーから外された。 
1軍復帰をかけた2軍の試合。私のせいで試合に負けることがあった。
思うようにプレー出来ない自分に苛立ちと情けなさが込み上げてくる。
試合後、先生から罵声を浴びせられ皆の前で殴られた。
自分一人だけ残されてグランドの端から端まで殴られた。 
不甲斐ない自分から仲間も遠ざかっていった。 

【恨み辛み】 

人前で馬鹿にされ殴られ続けたことで、周りから哀れな目で見られていたと思っていた私は、

山口先生に対して憎悪と憎しみの塊だった。
春の怪我から1軍の試合に出れないのは山口先生のせい。
周りが遠ざかっていったのも山口先生のせい。それ以来先生は恨みの対象となっていった。。。 

【進路】 

全国大会出場をかけた京都府予選の準決勝。私はベンチにいた。勝利に対する思いもなく、

有るのは試合に出さない山口先生に対する恨みだけだった。 
試合は僅差で負けた。悔しさよりもラグビーをやめられる安堵感でほっとしていた。
話は進路のことだった。
3年になって活躍は無かったものの実績が有るので大学にラグビー推薦で行けると言うことだった。
嬉しくもなんともなかったが特に就職先を決めていなかったので、
推薦で行ける愛知県の中京大学を選んだ。
先生は「頑張って中京大をラグビーで有名にしてこいよ」と言われたが、
そんな気持ちにはなれなかった。
あったのは早く伏見工業を去りたい、山口先生から離れたい気持ちだけだった。 

~続きます~