バーンハナの軌跡④

    【スクールウォーズ】 

    ラグビー部は部員が120人。なんでこんなに部員が多いのか仲良くなった部活仲間に聞いてみた。
    「スクールウォーズ観てたやろ?
    俺もあんな先生に教わりたいから京都に住民票移して入学してん~」と目を輝かせて言った。 
    なんやそのスクールウォーズって? 
    「知らんの?じゃあなんでラグビー部に入ったん」 
    彼は30分に渡りあれやこれや話し出した。
    不良ばかりで荒廃してた伏工を山口先生が監督になって血と涙を流しながら皆に誇りを持た
    すために建て直した事や、相手を信じて待って許すことで信頼したこと。
    また花園高校に100点以上の点差で負けてラグビー部が花園
    高校に勝つために不良が必死になって先生についていったことなどなど。。。。 

    そんなことがあったのを初めて知った。

     
    益々興味が出た。それ以降は皆に引っ張られる様にラグビーに打ち込んだ。 

    毎日倒れて動けなくなるまで続く走り込み。気が遠くなるぐらいの長距離走、

    そして伏見稲荷山のサーキットダッシュ。中学時代の不摂生が恨めしく感じた。 
    初めての練習試合。 
    不様に負けた。そしたら監督にしばかれ、蹴られ、死ぬぐらいしごかれた。 
    あまりの理不尽さに逃げ出したくなった。
     
    そして弱肉強食の言葉の意味を初めて知った。 
    「全然スクールウォーズと違うし」仲間の話題は何時もそれだった。 

    【2年の夏合宿】 

    死にそうなぐらい苦しい1年が終わり2年になった夏合宿。 div>

    相変わらず死にそうな練習は続いたが、幾分体力が着いていたし、身体もそれに対応し始めていた。 
    合宿2日目、同じポジションの1軍の先輩が足を骨折した。 
    それが切っ掛けでいきなり1軍の試合に上がることになった。 
    訳もわからず緊張していると、山口先生が手招きをした。 
    「鵜川、相手は前年度の全国優勝校だ。お前の相手は高校日本代表だ。
    だが怖がるなよ~。苦しくなったら先生の顔を見ろ」って
    言って背中を押された。 
    無我夢中で試合に望んだ。苦しかったが相手は山口先生より弱かった。
    先生には死ぬほどタックルされたし、死ぬほどどつかれたの
    で、それに比べると辛いより楽しかった。
    試合は圧勝で終わり、その時初めて先生に誉められた。 
    なんか嬉しかったなぁ~ 
    そしてこの試合を皮切りに1軍に定着したのだった。
    ~続きます~