感謝の心 終わり

そして、黙々と食べると箸を置く前に一言呟いた。

「今日の料理、ちっとはうまかったぞ。」
嫁は驚きました。
なぜなら初めて姑に誉められたからです。
しかし、
そんなことがあっても、これまで積もり積もった姑に対する
憎しみは消えませんでした。
嫁は僧が言ったとおり、料理に少しずつ薬をまぜ、
姑に毎回必ず感謝の言葉を言うようにしました。
お母さんに、味噌汁の作り方を教えてもらったこと。
お母さんに、掃除の仕方を教えてもらったこと。
お母さんに、裁縫のコツを教えてもらったこと。
自分はまだ、十分に出来ていないが、
感謝していると繰り返し伝えた。
お母さんから言われてきた数々の叱責の言葉も
自分の励みにしていきたいと感謝を伝えた。
嫁は初めは心にもない言葉を並べているように思えた。
しかし、毎日感謝の言葉を口にする度に
自分の心がほぐれていくのが不思議だった。
そうしているうちに、姑の態度が明らかに変わってきた。
嫁を見るときの顔が柔和になってきた。
それどころか、
陰で嫁の事を誉めるようになっていた。
夫には
「お前はいい嫁をもらった」と言い
近所や親戚には
「うちの嫁は出来た女だ」
と、自慢するようになった。
それに応じるように、嫁は姑に対する憎しみも薄らいでいった。
それどころか、病気がちで立つことも歩くこともままならない
姑の気持ちを考えると、これまで自分に思いやりの気持ちが
足りなかったことに気づかされた。
嫁の心には次第に激しい後悔の念がわき上がった。
私はあの姑を老衰したように見せかけ、毒殺しようとしている。
なんという恐ろしいことだ。
なんという罪なことだ。
いたたまれなくなった嫁は、僧のところに駆け込みました。
泣きながら
「お坊様、私の間違いでした。

私は何と罪深い女でしょう。

どうかどうかお許しください。

お坊様、お母さんを死なせたくありません。どうかあの毒を消す

薬をください。お願いします。お願いします。」
泣いて頼む嫁に、僧は言いました。
「案ずるな。あれはただの海草の粉末だ。毒ではない。

毒を消す薬と申したな。覚えておきなさい。

心の毒は感謝することで消えるのじゃ。

どうやらお前の心にあった毒は

もうすっかり消えてしまったようだな。」
思いやりを持とう



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