続バーンハナの軌跡24

【完成】
どんどん資材が運び込まれて行く。
ワイワイと沢山の作業員が後から後から入っていくのを見ていた。
コンクリートの部屋にフロアマットが敷き詰められ、壁紙が貼られていく。
呆気にとられている私に、微笑むオーナー。。。
有り難う
と何度も何度も繰り返していた。
時間は朝5時を回った頃、全ての工事が終わった。
それは何度も打合せした内装とは少し違ったが、そんな事はもうどうでも良かった。
ただただ完成した喜びと、
オーナーと心が通じた喜び。
そして皆が来ても大丈夫になった安堵な気持ちで一杯になっていた。

ここで、タイのスクールが始まるんだ。
皆に、この仕事の遣り甲斐と、本質を少しでも感じてもらえたら嬉しい。
夜明と共に完成した教室で近い未来を憂いていた。
【到着】
オーナーから電話があったのだろう。
間もなくしてTさんがやって来た。
「何があったんですか‼」
部屋を見て狐につままれたような顔で訪ねてきたTさんに
昨日の出来事を話すと、
「ちょっとオーナーに話してきます!」
と言って事務所に行ってしまった。
暫くしてオーナーとTさんがやって来た。
「話をしませんか」
と、レストランに案内された。
「まずオーナーが謝りたいそうです」
そう言うと通訳をしながら話をし始めた。
「初めから騙すつもりだった。。。」
え、どういうことですか!
彼は
「タイの伝統を商売で使われるのは許せない。例え友達の頼みでも許せない。
初めは断るつもりだったが、何度も何度も言ってくるので、痛い目をみさせて2度とタイで
商売をさせないようにしようと思った。」
と言った。
そんなバカな。
話を聞いて驚いた。
そんな気持ちにさせていたなんて。
確かにオープンさせたい一心で周りの気持ちを考えなかったかもしれないと、反省させられた。
続けてオーナーが言った。
「でも、昨日の鵜川の話を聞いて、違うと解った。だから協力する。今までごめんなさい。」
そう言ってくれた。
嬉しかった。有りがたかった。
これで皆が本当の意味で協力してくれることになった。
いよいよ夕方には先陣の10名のやってくる。
今から準備を再開だな。
Tさんもオーナーも一緒になって動いてくれた。
段取りは多少変わっても、本当の思いを伝えられる喜びに胸が高鳴った。
ありがとう
~続く~