続バーンハナの軌跡19

【最後のタイ】
「6回もタイに行って何も見つから無かったのですか?」 
マネージャーにそう言われるのが辛かったが、
遊んでる訳じゃないんだよ、と言う言葉はきっと言い訳のように感じたに違いない。
でもね。
何かあるとしか思えない、この感情の揺れ方に最後のお願いをして半月待たずに7回目のタイに行くこと
にした。
半年の間に7回目とあって、タイ語も耳に慣れてきていた。
ある程度の行動は1人で出来るようになっていたが、大事な所はTさんに着いてきてもらった。
毎回行く、タイのワイヒン地区のスパ。
そこのオーナーはTさんと親しく、当時では珍しく銭湯とトレーニングジム、マッサージ、レストランが集ま
っている施設で、何時もそこを拠点にしていた。
今回もそこで動き方を考えていた。
動き方のコツをいつの間にか掴んでいたので、半日かかる事も数時間で出来るようになっていた。
お陰で時間が作れた。
施設の周りを散歩していると、お世辞にも衛生的とは言えない屋台が幾つか並んでいた。
お寺と言われる建物はきらびやかで賑わっていた。
少し歩くとスーパーがあった。
そこのドリンクコーナーで覚えたてのタイ語で
「アイスコーヒーブラック」で、
と言っても全然伝わらず、何とか注文できたコーヒーは甘過ぎて2口以上飲めなかった。
タイ語全然伝わらず。。。
そんな事をしながら何時も行ったマッサージ店やスクール施設。
そこで寄るレストランやカフェ。
行く場所場所で、今回で見つからなかったらタイにはもう来ないのでとTさんが通訳しながら
回っていった。
見つけなければならないプレッシャーでかなりの焦りはあったが、
タイ独特のゆっくり流れる時間と、あっという間に終わる1日にいつの間にか最終日になっていた。
とうとう見つからなかったらなぁ。。。。。。
残念で仕方ない気持ちと名残惜しさが胸をうつ。
けじめを付けるために今回無理に来たタイ。
皆の予定をど返しして無理を言ったので、もう諦めることにした。
また何時か来たい国だ。その思いを胸にしまった。
最終日のフライト前の夕方、いつものスパ施設の野外レストランで食事をすることになった。
すると、今まで知り合った方々、お世話になった方々がたくさん集まってくれていた。
私がタイに来るのが最後だと聞いて集まってくれたらしい。
あまりのサプライズに、胸が熱くなった。
知り合った沢山の方々が、気さくに声をかけてくれる。
「また来てね」
「今度は遊びでおいでよ」
「寂しくなるな」
など、嬉しい言葉を沢山もらった。
有り難い限りだ。
ますますこの国の人の優しさに、名残惜しさは増すばかりだった。
~続く~