続バーンハナの軌跡18

【帰国後】
タイから帰国後、空港に向かうタクシーの中で感じた切ない気持ちと懐かしさが、どうしても忘れることが
出来ないでいた。
なぜあんな気持ちになったのか。。。
今まで海外に視察に行った時には感じなかった思い。
日が経つに連れて、その思いは増すばかりだった。
数週間後、タイから帰国したTさんに相談してみた。
するとTさんは、
「もう一度タイに行きませんか」
と、言ってくれた。
もう一度行けば見つかるかもしれない。。
そう思い、タイに行くことを決めた。
【再来タイ】
タイに着くと、不思議と以前とは違う空気を感じた。
前に来たからかと思ったが、懐かしい思いは募るばかりだった。
Tさんは
「鵜川さんが以前行った所をもう一度全部回りましょう。」
そう言って車を走らせてくれた。
それから5日、最終日を迎えた。
「鵜川さん、何か良いもの見つかりましたか。前に言ってたこと発見しましたか。」
と、言ってくれたが、
何も見つからずにいた。
気のせいなのか。。。
Tさんと別れ、タクシーに乗ったとき、またラジオから同じような音楽が聞こえてきた。
この曲は日本の演歌の様なもので、タイの田舎ソングだと教えてもらった。
また前以上の切ない気持ちと懐かしさで一杯になった。
こうなったら何が有るのか解るまでタイに行ってみよう。
次回も行くことを決めて帰国した。
【3~6回】
それからタイに行くこと6回目を迎えた。
それまで何も見つからずにいたが、何時も同じくコースを回っていたので、行くとこ行くとこ
知り合いだけが増えていった。
「また来たの!」
「何か見つかった!」
と、顔を合わす度、声を掛けられるような仲になっていった。
決まって返す言葉はマイカオチャイ~
良く解らない~の言葉だけだった。
こんなにタイに来てるのに情けない。
会社の皆の手前、これ以上意味のないタイ視察は無理だと感じる様になっていた。
6回目のタイも何も見つからずに終わっていった。
しかし、この思いはもう疑えないほど心に染み渡って行くのだった。。。。
~続く~