バーンハナの軌跡18

【自ら変わる】 

Kパンに勤めてから3度目の春を迎えた。 

毎日が助け合いの中で仕事が出来ることが有り難かった。 

助け合いの行動は事務から工場、自分の専門の配送以外の仕事を何時しか覚えることが出来た。 

そして、なにより皆に必要とされるのが嬉しかった。 

毎日、遣り甲斐があった。 

ある日、米飯工場で欠員が出たと聞いて、昼休みの合間に手伝いに言った。 

大型の釜が所狭ましと列び、中は熱気で溢れてた。 

完全防備の中でする作業は一気に体力が奪われる。 

この中で、Hさんが大きな声で皆を引っ張っていた。 

指示を出しながら全部の釜を管理し作業していた。 

Hさんは主任になっていた。 

仕事もままならぬアルコール依存症で毎日震えていたHさんが酒を断ち切り、生き生きとしている姿が 

とても誇らしく思えた。 


【実家の母親】 
ある日、実家から電話がかかってきた。 

母親からだった。 

元気がない声で心配した。 

理由を聞くと、健康状態が良くなく、検査で膵臓が良くないらしい。 

父親が死んで8年。 

愛知県に来てから10年目の時だった。 


【退職願い】 

次の日、理事長の奥さんに昨日の電話のことを相談した。 

すると 

「今まで女手一つで育ててくれて、次は鵜川君が力になる番よ」 

と、京都に戻り母親と一緒に住むことを薦めてくれた。 

後ろ髪を引かれる思いでキングパンを辞めることになった。 

ずっとここに居たかったのに。。。

~続きます~