バーンハナの軌跡12

【予想外】 

O専務に案内されたものの、想像を絶する汚さに二人とも入るのを一瞬とまどった。 

寮のイメージは以前していたコンパニオン派遣の寮だった。

それは電化製品一式と冷暖房完備のウィークリーマンションが一般的常識だった。 

あまりにも想像とかけ離れた状態に呆然としてしまった。。。

落ちるとこまで落ちた萎える気持ちは隠せなかったが、明日からが新たな第一歩だ。

気持ちを切り替え、はだか電球のスイッチを切り、茶色に変色した畳の上に布団を敷いて寝ることにしたが、

沸き上がる虚しさと天井裏のガリガリとした音が酷く結局一睡も出来なかった。


翌朝、専務の紹介で寮のメンバーと顔合わせをすることになった。 

我々以外に3人の社員が住んでいた。 

1人は84歳で身寄りのないお年寄りのHさん。工場の清掃作業員。 

1人は50歳過ぎのSさん。アルコール依存症から社会復帰をするために寮で住み込み工場で働いている。 

1人は35歳のK君。彼は重度のダウン症で言葉が話せない。しかも孤児だった。

 落ちた気持ちは一層酷くなり、ここに来たことを後悔した。

とうとうここまで落ちてしまったかという自己嫌悪と喪失感で 

一緒に食事をすることを拒否した。 


【焦り】 

私は焦っていた。ここでの生活は拷問だ。 

あんな人種と一緒に住んでることを誰にも知られたくない。 

裏切ったやつらの嘲笑う顔が浮かんでくる。 

一度は大金を掴み夢を掴み掛けたのに。。。。 

こんな姿を見せたくない。 

抑えきれない虚しい気持ちは何時しかK社長の借金を早々に返し、寮を出ること。Kパンを辞めて 

新会社をT君と造ることで焦っていた。 

その後1日500円生活のダブルワーク生活が始まった。 

~続きます~