バーンハナの軌跡11

【初めての就職】

2人で職業安定所に着くと真っ先に貼り出してある募集案内を調べ歩いた。
目的は寮と食事補助有りの会社。
しばらく探して条件の合う会社が見つかった。

『Kパン協業組合』

職安の係りの人に手渡し連絡をとってもらった。

そしてその日の午後に面接が決まった。

T市の片田舎にあるKパンに着くと早々に面接が始まった。

Kパンは地元の学校の給食をメインとし、米飯工場も運営する会社だった。
仕事内容は学校給食の配送業。
トラックで給食のパンや米飯を運ぶ。
朝4時から始まり、17時に終わる。
時間的には長いが、昼12時から15時まで休憩で最後は学校に行き空箱を回収し業務終了。
至ってシンプルな内容だった。
また時間的にも18時からダブルワークが出来ること。
そして何といっても寮と晩御飯が付いていること。
月給は手取り18万だったが2人雇ってくれるとのことで直ぐに世話になることを決めた。

【引っ越し】 

めあてだった寮に直ぐに入りたいと直訴したところ、その日の夜から入寮することが許された。

T君と急いでマンションに帰り、直ぐに引っ越しの用意をした。
昔買った電化製品を全て質屋に持っていき、20万近くの資金を元手に寮へと向かった。
新たな借金返済計画の始まり。
大きな期待と少しの不安を抱えて教えてもらった住所へ車を走らせた。

【Kパン寮】 

着いた先はKパンの米飯工場だった。

そこで専務のOさんに案内してもらったのは隣接していた古びた木造2階建ての一軒家だった。
専務は
「鵜川くんとTくんは2階の部屋を使って良いで。」と三河弁で2階へ案内してもらった。
2階には部屋が3つ。私は1番端の部屋を選んだ。
鍵を開けると、カビの臭いと裸電球が垂れ下がった4畳半の和室だった。
あまりの古さに唖然としてしまった。
隣の部屋の前に立っていたT君も口が空いていた。
~続きます~